2Pacの母=Afeni Shakurが中心となったAmaru Entertainmentが権利関係を厳しく管理していることもあって、2Pacの露骨に怪しい違法商品は滅多に出回らない状況ではあるのだが・・・それでも出所不明なアナログ12インチや海賊盤などはあちこちで散見できる。
Death Row Recordsに共に在籍していた時期のあるDaz Dillingerが、一時は無許可で2Pac音源を使用していたこともあったが、最近は沈静化している模様だ。
だが、Dr. DreやSnoop Dogg、Ice-Tなどのマイナー音源を掻き集めては何種類ものCDを販売しているStreet Dance Recordsというオランダを拠点にしたレーベルをご存じのHipHopファンもいらっしゃるでしょう。
輸入盤取扱店で彼らのコーナーを覗けば、見るからに怪しい装いで印象の薄い楽曲を収めたCDを複数発見できる機会も多いはず。
2Pacファンならば「Snoop Dogg/ A Tribute To 2-Pac」といった胡散臭いコンピレーション盤を見かけた人もいるでしょうが・・・2005年の初頭、このレーベルはついに堂々2Pacと大々的に明記したCDまでリリースしてしまった。
取り扱うのはお店の自由ですが、無駄な出費と時間の浪費を避けるためにも、衝動買いしたい気分を抑えつつ下記詳細をチェックのうえ慎重に捉えて頂きたいものです。

 2Pacとは因縁の深いThe Notorious B.I.G.の傑作「Ready To Die」を模したと思われる紛らわしいタイトルを冠して、2005年の1月に発売されたCDが『2Pac/ Ready 2 Die』だ。
 もうジャケットからして怪しさ炸裂なのだが、一般リスナーにしてみれば「また未発表曲集がリリースされたのか!?」と勘違いしてしまう可能性も濃厚。
 パッケージを裏返して曲目をサラッと見た後に、ふと目をやれば・・・そこには“Executive Producer: Suge Knight”とクレジットが。これでまた何も知らないリスナーは「つ、ついに、Death RowのSugeが2Pacの秘蔵音源を世に放ったか!?」と誤解してしまうわけだ。しかしこれは紛れもない海賊盤で、Amaru Entertainmentは勿論、Death Row Recordsも一切与り知らぬ非公式発売のCDだということを理解して頂きたい。
 “2Pac”という表記さえ権利が絡むというのに、それを無視して堂々と発売してしまった作品なので、Suge Knightの名前ぐらい何の躊躇もなく明記しただけのことだ。でも・・・これはきっとStreet Dance Recordsとしては確信犯だと思われる。“正規未発表曲集と勘違いして購入してもらえればしめたもの”と考えているに決まってる。
 私の場合、端からそのあたりを踏まえて、確認のためだけに購入した立場だから構わないが(それでも無駄な出費ではある)・・・2Pacファンが秘かな期待をして購入してしまい、愕然とすることのないよう願いつつ、各曲ごとに詳細などを報告しておこうと思う。

01. Thug Nature
 Death Row在籍時に制作されて、2000年にコンピレーション盤『Too Gangsta For Radio』で初お披露目となった人気曲。2003年に発売された日本編集盤の『2Pac: More+ Best Works on Death Row』で聴くことも出来るので、オリジナルAlbum未収録ではあるが、ファンには馴染みの深い作品。
 このCDに収録されたモノも全く同じ音源ではあるが・・・アナログ盤からコピーした為か、プツプツとノイズが混じっている。さすがは海賊盤だ。しかも、このCD全体にいえるコトなのだが、どれも音のレベルが低く、品質の悪さを実感させてくれる。

02. Murda Me (ft. Onyx)
 2年ほど前に非公式12インチシングルで出回った作品。哀愁漂うギターが印象的な未発表曲として、一部で話題になったものではあるが・・・どこまで本来残されていたオリジナル作品なのかも不明である。OnyxのFredro StarrとPacに接点はあるのだが、正規音源ではない為に本当の共演作かは判断しにくいところ。

03. That's Right
 一瞬PacらしきRapに聞こえるかもしれないが・・・これは絶対2Pacではない。普段2Pacを聞き込んでいるファンならば、きっとこのあたりから「こりゃ怪しいCDだわ」と感じるだろう。確かにとんでもないCDです。

04. Hate The Game (ft. The Outlawz)
 確かにOutlawzの未発表曲ではあります。しかし最後の最後までPacは一切登場しません。初めてこの曲を最後まで聴いた人は「あれっ!?終わっちゃったよ!」と不思議な気持ちになるでしょう。買ってしまった後では、もう取り返しがつきません。

05. The Fatha Figga (ft. Snoop Dogg)
 Death Row時代に制作されたPacとSnoop共演の未発表作・・・と期待すると痛い目に合います。確かにサウンドの雰囲気はそんな気配も漂ってます。途中でSnoopは登場しますが、これまたPacは一瞬も現れることなく終わってしまうので覚悟が必要。阿呆らしくて「結局Snoopと演ってる彼らは誰なんだ?」と考える気にもなれないだろう。

06. Slip-N-Slide (ft. DMX & Xzibit)
 PacはDMXやXzibitと共演していた・・・なんて興奮する人も居ないとは思いますが、せめて疑似共演曲だったら楽しめるだろうと考えるかもしれない。しかし、またもやPacは一瞬も登場することなく終わってしまう。Track自体もツマラナイので、DMXやXzibitの声が聞こえたかどうかも忘れてしまうような作品だ。

07. The Money
 これは『Tupac: The Here After』に収録されていたD.A.N. Hustlersの"Monday Morning"だ。タイトルを変えてまで、こういった音源を収録する姿勢に呆れてしまう。94年に制作された音源で、一応PacのRapも聴けるのだが・・・ひょっとすると、これも偽者の声ではないのかと感じだしてしまう。

08. House Of Pain (ft. The Notorious B.I.G.)
 Biggieとの未発表共演曲として一部のファンにはお馴染みの作品。音が歪んで収録されているようなこのCDで聴かなければならないモノではないだろう。いずれ正規発表される機会もあるだろうが「それまで貴重かも」と過大評価するに値しないクオリティである。

09. Throw Your Hands Up
 95年に発表されたコンピレーション盤『Pump Ya Fist』で聴くことが出来るオリジナルAlbum未収録作品。CDで入手が可能な音源だというのに、これまた音質が悪すぎる。

10. Me And My Homies (ft. Nate Dogg)
 Nate Doggの作品にPacが客演したモノで『Nate Dogg: G-Funk Classics Vol.1&2』などで聴くことが出来る。

11. Original Bad Boyz (ft. DMX & Xzibit)
 Track06 "Slip-N-Slide"と同様にPacは一切登場しない。楽曲自体もくだらなく、聴いてるこちらが馬鹿にされてるような気分になる。

12. Runnin' (ft. The Notorious B.I.G.)
 Biggieとの共演曲で、1995年発表のコンピレーション盤『One Million Strong』に提供された作品。『Tupac: Resurrection』で聴くことが出来る "Runnin' (Dying To Live)" のオリジナル・ヴァージョンである。このCDで聴く必要はない。

13. Don't Go To Sleep (ft. Kurupt & Daz)
 Daz & Kurupt (Dogg Pound)との未発表共演曲だが・・・インディーズ盤『Kurupt: Against The Grain Volume 1』など、至るところで聴くことが出来る。しかし、いずれも正規発表音源ではないので、慌ててチェックするほどでもないだろう。

14. Order After Kaos (ft. The Outlawz)
 これもOutlawzの未発表曲だが・・・ここまでチェックしてきた人にはもうピンと来るだろう。その通り、Pacは一切登場せず虚しくフェードアウトです。


 HMVやRECOfan、TOWER RECORDSなど、殆どの大型CDショップに陳列される『2Pac/ Ready 2 Die』には、“2Pacのレア音源集がとうとう発売!噂のレアTrack満載。エグゼクティヴ・プロデューサーはSuge Knight!!”などといったイチオシ・コメントが添えられるかもしれない・・・。
 しかしここまで紹介してきたように、このCDは“レア音源集”なんてモノではありません。半数近くの曲で2Pacが不在で、それ以外に関しても「ここで聴かなきゃどうする!?」という音源でもございません。コレクターにとってさえ全く意味のないCDです。
 ここまで詳しく紹介してきて、益々苦々しい気分になってしまいましたが・・・皆さんがこのCDを勘違い購入なさって途方に暮れることのないよう、リポートさせて頂きました。
 こんなCDにお金をかけるくらいなら、そのぶんMix-CDを購入した方が余程新鮮な驚きを体験できる・・・と私は思うのです。




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