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2Pac/ Pac's Life
(Amaru/Interscope Records 2006/B0008025-02)

 没後10年の節目に登場した2パックの新作は・・・デス・ロウ音源をベースにした部分や、ゲスト陣の役割、さらに同曲の複数ヴァージョン収録が目立つ点も含めて、彼の「素材化」が顕著になった『Better Dayz』の続編的な感触になった。
 まず、スゥイズ・ビーツがトラップ風のビートを施してボンサグを起用した(1)"Untouchable - Swizz Beatz Remix"は、故レフト・アイの同名曲で使われたパートを再利用したもので、主役の出番の少なさをフックの声ネタで解決せんとするあたりがスウィズらしい。アシャンティの溌剌ヴォイスを従えてT.I.と合体した(2)"Pac's Life"は、まさに『Better Dayz』所収の"This Life I Lead"の再々利用だ。一方、作者ダズによる流出歴もある(3)"Dumpin'"と(6)"Sleep"はシャ・マネー・XLのマキャヴェリ風な意匠が効いた好リメイク。
 元がジョニー・J製の曲では、キーシャ・コール主演曲と化したアイヴォン&カルヴィン製の(4)"Playa Cardz Right (Female)"、同音源を元にリュダクリスが奮闘したシャ製の(10)"Playa Cardz Right (Male)"、さらにサリーがスクリューストン風味に仕立てた(5)"Whatz Next"が聴きモノ。
 他にも『One Nation』からの転用となる(7)"International"などもあるが、最大の注目曲はQD3製のオリジナルのまま収録された(9)"Soon As I Get Home"だろう。
 シメにはアンソニー・ハミルトン参加の名曲リミックス(14)"Dear Mama - Remix"と、元はデジタル・アンダーグラウンド期の(15)"Scared Straight"をボーナス収録・・・次からはその手もアリなのか。なお、今回は出番が多いカダフィも没後10年だってことをお忘れなく!
(bmr / Black Music Review)


 コラージュやオマージュなどの表現を考慮しても、死者が遺した作品をこれだけ調理できる芸術は、恐らくヒップホップ以外に存在しないだろう。そして、その賛否/善悪には人それぞれの受け取り方があろうが、2パックの未発表音源を今に甦らせる形での新作が2年ぶりに届いたことは、死後10年を経ても尚その言霊が時代を越えた力を有している事実に他ならない。
 レフト・アイ『Supernova』に収録された同名曲をスウィズが再構築した(1)"Untouchable - Swizz Beatz Remix"や、LT・ハットン制作の表題曲(2)"Pac's Life"とそのリミックス(奇しくも最新作が同日発売のスヌープと死後初共演)など4曲は現行仕様ビートなので個人的には頂けないが、かつての盟友であるカダフィの存在や晩年の2パック・サウンドを支えたQD3による(9)"Soon As I Get Home"、サウス勢とダズが融合する(6)"Sleep"、生音ライクな(4)(10)"Playa Cardz Right"という同名曲の男女対抗合戦(はキーシャ・コールに軍配)と、前作以上に愛情と敬愛に溢れ、生粋のファンも裏切らない違和感のない仕上がり。終いにはアンソニー・ハミルトンを迎えた"Dear Mama"のリミックス(14)まで。これには号泣必至。
(BLAST)


bounce -- 死後のオリジナル・アルバムとしては5枚目となる2パックの新作。<たられば>はナンセンスと思いつつも、もし彼が生きていたらきっとT.I.と共演していたはず。LT・ハットンの名仕事が冴えた表題曲におけるT.I.+アシャンティとの疑似共演は、生命力に溢れたとてもいい出来だ。どの曲でもパックのツヤと張りのある声は沁み入り、彼が永遠に語り継がれる伝説であることを改めて実感させられる。没後10年の節目にあらためて合掌。


 凶弾に倒れて10年目にして本作でアルバムを11枚リリースしたことになる2パックだが、なぜこんなことが可能なのかと言えば、死に先立つ一年間の2パックはデス・ロウ以降のキャリアを軌道修正していくことを希求していたからだ。
 デス・ロウのギャングスタ・ラップで一攫千金を得ながらも(保釈金や裁判費用が必要だったわけだし)、サード「Me Against The World」までのひどくストイックに孤独と向き合うアプローチに立ち戻ろうとしていて、実際に死後リリースされたライムの多くにそうしたアプローチからストリートやヒップホップ業界の現実を綴ったものも多い。強迫観念的にそうしたライムを中心にレコーディングしていたので、ストックが無尽蔵に残されていたのだ。
 今回もそうした音源をもとに新規にプロデューサー/ゲスト陣を迎えて制作したものだが、クオリティの高さには毎度のように舌を巻く。
 聴き所はオリジナル音源に最も近いという(9)"Soon As I Get Home"と、2パックの好みのサウンドを意識した(3)"Dumpin'" (10)"Playa Cardz Right (Male)" (11)"Don't Stop"になるが、極度に今風のサウンドになった(1)"Untouchable - Swizz Beatz Remix" (2)"Pac's Life"などのトラックが悪いわけでもない。若いリスナーに対して、ストリート・ピカレスクならまずはこれを聴けという指針になるからだ。
(rockin' on)

November 21, 2006 Released





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